日本では、財産については「夫婦別産制」をとっています。端的に言えば、結婚期間中に夫が得た財産は夫のもの、妻が得た財産は妻のもの、という原則です。さらに、婚姻期間中に得た財産については、離婚時に「分与」、つまり、その分を分けてくれと請求することができます。例えば、夫名義の口座で貯蓄をしていた場合には、原則として、その半分を請求できます。分与の対象は財産全てになるので、貯金、現金、保険、不動産、自動車といったものが対象です。
しかしながら、結婚前に築き上げた財産までは請求できません。そのため、財産分与として請求できるかどうかは、「結婚前からあったものかどうか」という問題があります。この時期が明確でない場合、例えば、現金で保管している、結婚時の預貯金残高がわからない等の理由で争われるケースもあります。
また、遺産相続した財産など固有の権利に基づき受領した財産(特有財産)も同様です。特有財産は財産分与が不要ですので、財産分与する際には、この分を明確にしておく必要があるかと思います。とはいっても、特有財産を受領した時期に併せて離婚を考えることは起こりづらいので難しいとは思います…。その場合、根拠として結婚前の通帳や遺産分割協議書等があれば、立証はできます。
それでは、どんな離婚理由でも財産分与は請求できるのでしょうか?結論としては「できる」というのが答えになります。例えば、配偶者の不倫や暴力といったことが理由で離婚する場合でもそうなるというのは、国民感情からすると納得いかないのも理解できます。
しかし裁判所の判断では、こういった不貞等の理由については原則として問われません。つまり、どのような理由で離婚したとしても、財産分与はきっかり2分の1になることが多いです。もちろん慰謝料の問題はまた別ですので、それはそれで請求可能であり、財産分与の金額と相殺されることもありますね。
このようになるのは、先述のように日本では夫婦別産制をとっているとはいえ、潜在的には「夫婦の財産は共有である」という価値観に基づいているからだといえるでしょう。
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