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執筆者の写真家頭 恵

相続問題はなぜ起きるのか?原因と対策を紹介


 国が相続法を作っているのに、どうして相続トラブルが発生するのでしょうか?インターネットを見ると、いろいろな原因が指摘されています。


ア 遺産の評価または分割困難なものが多い場合

 不動産や非公開会社の株式等、遺産としての評価がかみあわないパターンがあります。特に遺産の大半を不動産が占め、かつ、その不動産を利用したい相続人がいる場合にトラブルになりやすいようです。その他には、美術品や芸術品、非上場企業の株式等、評価が一定しないものがある場合、その物の評価をめぐり争いになることが多いです。また、さびれた別荘や山林、田畑などの販売困難な不動産などの負の遺産があると、それらの押し付け合いになることもあります。


イ 同居している子と、別居している子の仲が悪く、見解の相違がある場合

 同居あるいは介護している相続人が、法定相続分を超えた相続を主張する場合があります。また、同居している相続人が被相続人の財産を管理している場合には、


(1)財産の不当利得を別居の相続人が主張する

(2)同居の相続人が自ら家督相続等の相続権、介護した功績を主張する


といった事例がみられます。

ウ 相続人間の関係が遠い・被相続人と関わりの薄い相続人が権利主張する場合

 従前の配偶者、先妻との間の子、相続人が兄弟姉妹または甥、姪である場合等、相続人間が幼少期から交流していない場合には、争いになります。


エ 遺言書の内容が極端である場合

 遺留分を侵害するような遺言を残すと、侵害されている相続人が訴訟等を起こす可能性が非常に高いです。


 これらは様々な相続問題のサイトで、実際に記載されていることを簡単にまとめたものです。私としてもまったく同意見であり、いずれも当事務所が扱ったことがある事例ばかりです。

 それでは、上記のようなケースが当てはまる場合、相続問題を発生させないための対策は、どうすればよいのでしょうか。私見ですが、簡単にまとめてみました。人気があれば、さらに掘り下げたいと思います。


ア 評価が必要になるような遺産、分けにくい遺産は、できるだけ換価しておきましょう。

 遺産をできるだけ現金化することで、争う理由が減って合意に至りやすくなります。争いをしないという意味では、綺麗にしておくのが一番なのですが、ここで現れるのが相続税の問題です。自宅等の不動産、法人を相続する場合には、換価が必ずしも適切な手段というわけではありません。とはいっても、争いを生まないということが目的なら換価することが大切だと思います。


イ その他のパターンでは、やはり遺言書をきちんと残すというのが大切です。

 もちろん、遺言書の内容は適切にしておく必要があります。遺産を分けるということについて、「家を守りたい」という価値観のある方には、抵抗があるかと思います。長男に家督相続させたいと考える方もいるでしょう。特に「タワケ」の語源は、田んぼを分けることは家の弱体化につながることが語源だと言われています。

 しかし現代の法制度では、跡継ぎにすべてを相続させることで、むしろ他の相続人との争いに発展し、かえって家を弱体化させる原因になることも考えられます。


 例えば、自宅等分けられない不動産がある場合には、その不動産を必要とする人を相続人に指定し、金銭や有価証券等を十分に他の相続人に渡すことが大切になります。その際、いわゆる遺留分を意識することが大切です。遺留分の無い相続人に対しては法定相続分を意識する必要はありませんが、争いを防ぐという意味では、法定相続分がある方に全く遺産を残さないような遺言書を残すのは避けた方がよいでしょう。

 例えば、6,000万円の価値があるとされている自宅不動産、2,000万円の株等の証券、2,000万円の現金があって、相続人が子供2人という場合を想定してみてください。この場合、法定相続分通りとすると、自宅不動産をめぐって争いが発生する可能性があります。そうならないように、自宅はどちらの子供が相続すべきか指定をしておきましょう。


 次に、この場合、子供には2,500万円の遺留分がありますので、自宅を貰わない方には少なくとも同程度の現金、預金、株式を分ける必要があります。


 また6,000万円の価値があるとする自宅不動産が、価格の変動や評価基準の問題で、実は7,000万円の価値があった、となると話が違ってきます。そして株式等証券は当然時価が変動します。そうすると、幅を持たせるために、3,000万円程度は自宅を貰わない方に渡すように指定するのが望ましいのではないかと思われます。

 当事務所では、遺言書作成に関するご相談を受け付けております。公正証書遺言の作成、直筆証書遺言の作成のほか、緊急時遺言等の相談も可能です。





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