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執筆者の写真家頭 恵

犬にまつわる法律問題とは?

法律の世界では「動物占有者の責任」というものがあります。当事務所は、犬のトラブル専門ではありません。しかし偶然だとは思いますが、私は比較的多く犬に関するトラブルを取り扱ってきたという認識です。

犬に関するトラブルは、大きく分けて2つあるというのが私の認識です。


①犬が吠えることによる騒音等をきっかけに、隣人同士がいがみあう相隣関係の問題

②犬が直接人間に噛みつく(または犬同士のケンカもある)などの攻撃行動をしたことへの損害賠償請求の事例


今回は、後者について書きたいと思います。


飼い犬が暴れたことで有名な判決は、俳優の反町隆史さんが飼っていたドーベルマンが同マンションの住人を噛み、怪我を負わせた事件があります。報道によれば、管理会社に対して2,000万円近い損害賠償が認められたとのことです。これは、この事件をきっかけに被害者一家がマンションから退去してしまい、その結果、賃料収入の損害が認められた事例です(東京高裁, 2013年判決)。

このように民法では、「動物の占有者は、その動物が他人に加えた損害を賠償する責任を負う」と定めており、飼い主は、飼育下にある動物が他人を攻撃した時には、賠償することになります。


具体的には、治療費、治療のための交通費、仕事を休んだ損失、精神的苦痛に対する慰謝料等を払わされることになります。詳しい方はわかるかもしれませんが、交通事故によるけがの場合と、ほぼ同じ賠償を請求されることになります。


そのため、被害者が骨折したとか、傷が残った等の後遺症がでた場合には、損害額が500~1,000万円という高額になるケースもあります。

この「動物」についての裁判例を調べると、ほとんどは「犬」です。今回私が調べた限りでは、9割方が犬でした。少数派では、猫による悪臭、馬や鹿の裁判例もあるそうです。


犬はペットとしてメジャーな存在であり、飼う人も多く、それだけ事件も多いということでしょう。当事務所で経験した動物関連の事件も、ほとんどが犬です。


ただ民法上では一応、「相当の注意をもって管理したときは、この限りではない」とされています。つまり、犬をきちんと管理していたときには飼い主は責任を負う必要は無い、とされています。

しかし裁判例を見ると、上記報道に関する記事でも引用されていますが、実際に犬が噛みついたり吠えたりして事故があった場合には、飼主が損害賠償請求を免れる可能性はきわめて低いです。


飼い主が鎖につないでいるとか、リードをきちんとつけて散歩をしているような場合でも、その犬が吠えかかったりかみついた場合に、占有者の責任を認めています。例外として、被害者の方から必要性も無いのに積極的に近づいた場合の怪我や、被害者の方から手を差し出すなどした場合には、過失相殺や免責をされることもあるようです。


以上のように、犬によって怪我をさせられた場合には、損害賠償請求が行える可能性が高いです。こういったトラブルは、当事務所でも扱っておりますのでぜひご相談ください。


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