離婚について当事者間での話し合いがまとまらない場合には、家庭裁判所の調停手続を利用することができます。これが「離婚調停」です。調停手続では、離婚そのものだけでなく、子供の親権者を父母のどちらにするか、親権者とならない方の親と子供との面会交流をどうするか、養育費、慰謝料についてどうするか等といったことを話し合います。
今回解説する「親権」とは、未成年の子供の利益のために監護・教育を行ったり、子供の財産を管理したりする権限であり義務であるといわれています。
親権は、裁判所が「父母のどちらが子の福祉に適合しているかどうか」という点を重視しているようですが、実際には「総合判断」であると公表されています。裁判所は、タイトルにあるような「親権を勝ち取る」という発想自体を好まない様子です。
一般論として「母親が親権を取るケースが多い」という認識でこのようなタイトルになっていますが、実はこれも本当にそうなのか、私どもにもわかりません。
しかし日本の裁判所で親権者を決める傾向として、実際に監護している方が選ばれやすいことはあります。父親はフルタイムの仕事で家を不在がちにならざるを得ず、監護しているのは母親が多いという実態から、母親が親権を取りやすいというイメージがあるようです。
裁判所の判断基準については、以下の5つが挙げられます。過去のブログでも書いていますので、ぜひそちらも併せて参照してください。
①子供の意思、母性優先
②家庭環境の持続性
③面会交流の許容性
④兄弟姉妹が一緒
⑤監護体制が整っているか
これらを踏まえれば、子供が中学生くらいになっていると、親権はもはや親の問題ではなく子供の選択で決まると言ってもよいでしょう。そのため親権を定めるのであれば、まず子供に好かれることと、十分な環境を整えられる寛容さが大切になってきます。
そうすると親権を得る確率を上げるのは、家庭環境の持続性(②)と監護体制が整っているか(⑤)という点が大きくなってくるでしょう。特に監護体制については、父親を親権者として定めるのに唯一有利となる可能性がある項目です。
夫婦の別居前から、子供の引っ越しや転校(環境の変化)が望ましくない状況を作ることでしょう。例えば、子供を私立小学校や地元のクラブチーム等に通わせて、子供自身が生活環境の継続を望むように整えることがあります。
何といっても自分の父母(子供からみたら祖父母)、兄弟姉妹(子供から見たらおじ、おば)の活用になるかと思います。活用といっても、近所に住んでいる、ないし同居がベターです。年齢の近いいとこ等がいることで、そこで仲良くなれれば子供も自然とそちらになつきます。
もちろん血縁者ではなく家事代行やベビーシッター等の利用もあり得ますが、個人的には、やはり「血は水よりも濃い」つまり親族が面倒を見れるのがベターであると思います。
環境を整えることも大切ですが、子供の意思をいかに父親に向けるか、というのは重要です。子供と一緒の趣味をもつ、というのもいいかもしれません。ゲーム、マンガ、スポーツ、旅行、勉強など、何でも良いでしょう。
では、そうしたことがないのに親権を勝ち取りたいという場合、どうすればいいのかというのは難しいところです。法律的な回答になっていないかもしれませんが、この問題は本当に難しいです。
その解決策は、やはり子供への愛情しかないのかな、というのが正直なところです。
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