残業代問題が発生する業種として「店長職・飲食店社員、その他店長」がよく挙げられます。
飲食店・小売店の店長は、「管理監督者」だから残業代が出ないということで残業代が支給されない旨を説明される場合があります。しかしながら、当事務所で代理して請求した場合はもちろん、日本中の事例を見渡しても、飲食店の店長が労働基準法上の管理監督者と認定された事例は確認できません。
労働基準法上の管理監督者は、「経営者と一体的な立場で」「労働時間・休憩・休日等に関する規制の枠を超えて活動することが要請されざるを得ない、重要な職務と責任を有し、現実の勤務態様も、労働時間等の規制になじまないような立場にある者」とされています。
つまりは、給料は経営者と同じくらいかちょっと少ない程度、出退勤は自由、部下の雇用・解雇については自由というのが原則となります。
よって飲食店店長は以下の点から、管理監督者になる可能性はほぼありません。
①給料が安い ②人事に関する裁量が小さい ③出退勤労働時間の自由が無い
有名な飲食店での事例では、マクドナルドが店長職に対する残業代を支払っています。
残業代請求手続のためには、労働時間の把握が簡単である必要があります。こうした飲食店の店長は、労働時間の把握がしやすいというのがあります。店長、副店長であっても店舗のタイムカードを打刻するのが普通です。タイムカードがなくても、シフト表、ビルの出入館記録、店舗の客観的な営業時間等により、労働時間の把握は極めて容易です。
そのうえ店長職の社員は残業代がつかないこともあり、逆に労働時間が長期化しやすい傾向にあります。つまり、使用者(会社)からしたら残業代を払わなくて良いと思っている店長、副店長に働かせその分人件費(コスト)を下げようという狙いがあり、それが未払残業代の高額化につながっています。
「店長」「副店長」といった肩書のある従業員に対して残業代を支払わない会社は多数存在します。有名なところで挙げれば、靴店店長(ABCマート)、ディスカウントストア店長(ドン・キホーテ)、コンビニエンスストア店長(セブン-イレブン)等が残業代未払いを労基署等から指摘され、従業員に支払った事例があります。
当事務所の取扱事例においても、新聞販売店店長等、飲食店以外の従業員について残業代請求を行い、高額な未払残業代を獲得しています。
管理監督者扱いでどれだけ働いても給料が定額である。
定額の給料であるが、時給換算するとアルバイトと同じくらいになってしまう。または、残業代がきちんとついている他の社員より少なくなってしまう。
人事権がない。
アルバイトの採否を決定できるが、正社員を雇用・解雇することができない。
仕事に裁量がない。 ※会社の許可を得ることなくメニューを決定する権限、取引先を変更する権限等が存在しないと、管理監督者とは言えないのが通常です。
店舗の営業時間が決定されており、出退勤の自由がない。
以上のようなご状況が1つでも当てはまる方は、残業代請求できる場合があります。ぜひ、一度船橋リバティ法律事務所へご相談ください。
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