子どもが学校でいじめにあっているようだが、相談しても学校が動いてくれないー。
子どものいじめ問題は、取扱いが難しいものです。まず学校という閉鎖空間で起きているいじめ問題について、その程度を客観的に証明する課題があります。 また、監督者である教員さらにその管理職も「通常業務が多忙すぎる」ということが取り沙汰されて久しく、細かな対応がしきれないという実情があります。そうして続いていく学校生活のなかで、加害・被害当事者、関係保護者、学校組織間で「いじめの存在」を正しく認識し、双方が納得する着地点へ収めることは難しいようです。
しかし平成25(2013)年に施行された「いじめ防止対策推進法(23条第1項・第2項)」では、保護者からのいじめ相談に対して学校側が行うべき対応が義務づけられています。
第1項 学校の教職員、地方公共団体の職員その他の児童等からの相談に応じる者及び保護者は、児童等からいじめに係る相談を受けた場合において、いじめの事実があると思われるときは、いじめを受けたと思われる児童等が在籍する学校への通報その他の適切な措置をとるものとする。 第2項 学校は、前項の規定による通報を受けたときその他当該学校に在籍する児童等がいじめを受けていると思われるときは、速やかに、当該児童等に係るいじめの事実の有無の確認を行うための措置を講ずるとともに、その結果を当該学校の設置者(※筆者注)に報告するものとする。 ※筆者注:公立学校の場合は、教育委員会となる。
このように、いじめ問題は子ども同士・学級内のトラブルでは済まさず、学校組織の課題として扱うべきものとなっています。当然ながら、子ども間で起きたことであっても心身の障害を含むような被害のあったいじめについて、弁護士による対応が可能です。
慰謝料請求事件の事例集を見ると、衝撃的な内容が多数確認できました。以下は、千葉県弁護士会編「慰謝料算定の実務 第3版」(ぎょうせい, 2023)に載っている裁判例と、慰謝料額です。
①横浜地裁川崎支部(令和2年3月24日判決) 小学校6年生の児童が、「きもい」などと言われる、菌回し行為の対象にされるなどした事案 慰謝料:40万円 ②東京高等裁判所(令和3年6月3日判決) 小学校5年生の児童が殴られる、消しゴム等投げつけられるといういじめを受け、小学校、中学校ともに不登校となった事案 慰謝料:200万円
その他、近年では、LINEグループを外される等のインターネットを介したいじめについても、慰謝料を認める判決が出ていることがわかります。
いじめに関する訴訟は、1年以上の長期に及ぶことも少なくありません。事件に発展する前に、弁護士への相談・対応によって早期の解決を目指しましょう。
弁護士がいじめ対応への依頼を受けて、関係者へ実際に行うことは以下の内容になります。
①学校に対して書面で注意喚起するとともに、学級担任等との面談を実施する。状況によっては、損害賠償請求を行う。
②加害児童・生徒の保護者に対して、被害児童・生徒への接触を止めるよう請求する。被害内容によっては、損害賠償も請求する。
学校への相談だけでは抑止できないいじめ行為に対して、弁護士が介入することで、事態のエスカレートを防ぐことが期待できます。上記の裁判例等をみればわかるように、適切な対応をされなかったことで、いじめ問題が複雑化・深刻化し、被害をうけた子どもたちにとって生涯にわたって重大な心の傷を負わせるような結果がありえます。
一方で「学校での問題」というのは難しいところで(特に居住地域内にあるような学校の場合)、子どもたちは事件後も暮らしを続けていくことになります。労働トラブルのように辞めて終わり、というわけにはいかず、所属学校内・居住地域内での立場が悪化することも想定されます。
それでも逆に言えば、この状況を改善しなければ、大切なお子さまの健全な成長・学習機会の損失といじめ被害がずっと続く可能性もあるということです。弁護士が介入することで、悪い流れを断ち切ることができれば、その後の学校生活が明るいものになるでしょう。もちろん、法的なアドバイザーとして助言を行うことも可能です。
いまこの時もいじめの被害に苦しむお子さま、そのご家族さまへ何かお力になれることがあるかもしれません。ぜひ一度、ご相談ください。
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