債務整理をすることで、信用情報に記録が残り、新たなクレジットカード等の審査が通りにくくなります。しかしそれは、直ちにすべてのクレジットカードが使えなくなるわけではありません。状況や手続に応じて、クレジットカードが使える場合もあります。
もちろん債務整理をするような状況で新たにクレジットカードを使用することは、弁護士としてはおすすめはできませんが、インターネット上での通販サイトの利用や、航空券予約に際してクレジットカードが必須であるケースなど、やむを得ない場合もあるかと思います。
任意整理の場合には、整理するカードの対象を選べるので、対象外のクレジットカードはそのまま使用できます。もっとも、各業者は信用情報の調査を定期的に行っており、カードが更新できなかったり使用の停止措置が取られることがあるようです。
「ようです」というのは、実際にそのようなことをするかどうかは各業者の判断なので、確実ではないからです。実際は使用し続けることができる場合が多そうです。
自己破産・個人再生の場合には、完済しているクレジットカードは対象にならないので、理論上はそのまま保有が可能ですが、手続き中の使用は原則禁止で、使うと免責が得られない可能性もあります。
残高の残っているクレジットカードは、必ず整理の対象になります。なかでも完済したカードで平成20年以前からキャッシングをしている場合には、過払い金が発生している可能性があるので、申立人代理人弁護士もしくは管財人弁護士が調査を行います。
また、依頼時に完済していても、開始決定(破産または個人再生手続について裁判所が手続開始を認めた日)までに借入をした場合には、整理の対象となります。破産あるいは個人再生依頼後の借入は、場合によっては詐欺や免責不許可事由になり、手続ができなくなる可能性があるので、通常は禁止です。
以上をまとめると、自己破産・個人再生終了後もクレジットカードを持ち続けるためには、
①依頼時に完済しており、開始決定日までに新たに借入をしない
②過払い金が無い
という2つの条件が必要になります。また開始決定等は官報に記載されるため、官報を見てクレジットカードが止められる場合もあります。
ただし、繰り返しになりますが、自己破産・個人再生をするまで追い込まれているのに、クレジットカードを引き続き保有するのは、本当におすすめできません。特に自己破産の場合には、7年間再度自己破産できないという制限がありますので、クレジットカードを使うのは大きなリスクとなります。
信用情報機関JICCのホームページによれば、信用情報への登録内容と登録期間として、取引事実、返済状況に関する事実が記載されています。
このような登録事項を見る限り、自己破産で免責が確定した後は、JICCからは5年で信用情報の記載が削除されるということでしょう。そうすると、債務整理をした場合、自己破産や個人再生の手続完了後5年が経過した場合には、新たにクレジットカードが作れるということになります。ただし各クレジットカード会社の審査手法は公開されておらず、事故情報のみを理由に判断しているわけではないと考えられています。仮に事故情報に載ったとしても、クレジットカードが作れる場合があります。これは、事故情報の記載があっても、収入や家族構成からして、クレジットカード会社が「貸せる」と判断したということになります。
以上のように、債務整理をしたからといって、必ずしもクレジットカードが使えないというわけではありませんし、作ることも100%無理というわけではありません。
ただし、大事なことなので3度書きますが、“債務整理をしながらカードを使う”のはおすすめできません!!
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