「弁護士費用特約」とは、一般的に、自動車保険の契約の際に付帯オプションとして目にすることが多いかと思います。被保険者が交通事故等の被害にあって加害者へ損害賠償請求を行う際に、弁護士への依頼費用の補償等を受けられるものとなっています。
自動車保険の任意保険の特約として付帯されることが多いですが、昨今では、火災保険や自転車保険に付帯されるケースも見られます。また、弁護士費用の支払だけを目的とした保険も販売されています。
実は「あおり運転」等の交通トラブルでも弁護士費用特約が使えることをご存知でしょうか。「あおり運転は交通事故じゃないのに弁護士費用特約が使えるんですか?」という質問をよく受けますが、どうやら使えるようです。もちろん本当に使えるかどうかは、契約した保険の約款(保険契約の内容を記載した文書のこと)を確認する必要がありますが、原則使用できると考えていて問題ないかと思います。
今回は当事務所で実際にご依頼を受けて、弁護士費用特約が利用できた事例を紹介します(プライバシー保護のために、事案を若干変更しています)。
「この事例については」と限定的にはなりますが、依頼者の契約していた弁護士費用特約で弁護士費用が補償されています。また、いずれの事例についても、警察の発行する交通事故証明書が出されていない事案です。
Case 1. 駐車車両を巡るトラブル
依頼者が一時的に自動車を路上停車していた際、酔っ払った加害者に絡まれて自動車を損傷させられました。さらに依頼者が酔っ払った加害者を制止した際、暴行を受けてしまいました。この事案では自動車の損傷に対する損害賠償請求について、弁護士費用特約が使用できました。
Case 2. 接触事故直後のトラブル
まず依頼者は、過失のある自動車事故を起こしてしまいました。相手方はその時の被害者なのですが、事故となったことに激怒し依頼者の自動車を蹴ったり殴ったりしました。それにより依頼者の自動車のミラーが損傷した、という事案です。
結果として、相手方車両の損傷分は依頼者の自動車保険で修理し、依頼者のミラー損傷分に対する賠償については、当方で受任して損害賠償請求を行い回収しました。
Case 3. あおり運転トラブル
あおり運転トラブルとしては、依頼者が相手を追い抜いたところあおり行為を受けさらに追い越し車線で停止させられたケースや、高速道路上で長時間にわたりあおり運転を受けたケースがあります。いずれも弁護士費用特約が使用可能でした。
いずれの事例にも共通するのが「請求額が少額であるため普通に弁護士を依頼しようと思っても、持ち出しないし弁護士費用と回収額が同程度になってしまう」という点です。
弁護士費用特約に加入していれば、弁護士への依頼を新たな負担なく行うことが可能です。特約を利用しても保険の等級に影響は出ませんし、弁護士に依頼することで、賠償額の交渉をより適切に行えたり、事案の早期解決が望めたりします。
またもし弁護士費用特約に加入していなかったとしても、交通トラブルでの被害者になった際には、弁護士へ相談することをおすすめします。専門家の意見を聞くことで、そもそも弁護士に依頼した方がよいかどうかの判断がしやすくなります。
当事務所でも数多くの解決実績がありますので、少しでも気になることがある方は、お気軽にご相談ください。
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