残業代問題が発生しやすい業種として「トラック運転・運送業」がよく挙げられます。
答えは、使用者(会社)が、残業代はすでに支払っていると思い込んでいて実際には払われていないケースが多いからです。運送業者の賃金体系は、多くは「基本給」として一定の賃金を支給し、その他は「歩合」または「各種手当」をを支給することで残業代の代用としている運用がある程度定着しています。
このような運用が定着している上に、これら歩合についても就業規則、労働契約書等で「残業代の代わりに支給します」などと記載していることから、使用者(会社)の方でも、「うちは適正な残業代を支払っている」と主張することがあるのです。
例えば、「長距離手当」「輸送能率手当」「精勤手当」「業務手当」「乗務手当」といった給料明細に記載し、これらを残業代として支払っていることにして、残業代未払は無いと主張してきます。
しかしながら、このような取扱いは法的には原則として認められません。
名称として残業代であったとしても、きちんと法的な計算をせずに支給しているものは、基準賃金、基本給として取り扱われることになります。そのため、給与明細上「残業代」「時間外労働手当」等といった記載が無い場合、会社が残業代を支払ったと認められる可能性は極めて低いでしょう。
上記のような運用・慣習は、労基署の介入や残業代請求を原因として少しずつ減少していますが、未だに運送業界に残っています。そのため、残業代未払いがよくある業種と言われるのです。
答えは、労働時間がきちんと証拠として残っていることが多いためです。トラック運転手の多くは、デジタルタコグラフによって厳密に労働時間が管理されています。秒単位で労働時間がわかることになりますので、使用者(会社)側は労動者の労働時間をごまかすことができません。
タコグラフがない場合でも、日報や配送表があることが通常であり、客観的に労働内容が把握しやすくなっています。これらのことからも労働時間の計算が非常に容易になっていますので、使用者(会社)側も労働時間をごまかすことができません。
また、上記のようにトラック運転手に対して使用者(会社)が残業代を支払っていると勘違いしていることから、使用者(会社)は労動者がいくら残業しても気にせず、労動者を酷使する傾向にあります。
給料明細上に「残業代」「早出残業手当」「時間外手当」といった記載が無い。
給料で変動する部分が歩合部分しかない。
手当が支給されているが、労働時間ではなく、行った場所や積み荷の量によって決定している。
拘束時間が250時間を超えている。
運転時間以外にも、荷積・荷下ろしに際してトラックを離れることができない。
待機時間にもトラックを離れることができない。
高速道路の使用が許可されていない。
1つでもあてはまれば、残業代発生している可能性があります。
気になることがある方は、ぜひお気軽にご相談下さい。
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