当記事は、労働組合から団体交渉を申し込まれて「これからどうしよう?」という疑問や悩みを抱いている会社経営者・個人事業主の方向けの内容です。以下の「団体交渉における注意事項」をしっかりおさえていただき、冷静な対処に備える一助になれば幸いです。
労働組合が団体交渉の申し入れをしてきた場合、それに対して拒絶することは法的に許されていません。労働組合法7条2項において「使用者が雇用する労働者の代表者と団体交渉をすることを正当な理由がなくて拒むこと。」を禁止しています。
もし団体交渉の申し入れを無視した場合、不当労働行為として慰謝料請求や会社名公表などといったペナルティが課される場合があるので、無視をするというのは、法的にはマイナスが多いでしょう。無視をすれば収まるかもしれない、というのは戦略としてはありえますが、リスクがあります。
ただ「応じる義務」とはいっても、応じる=その場ですぐに回答しなければならないということではありません。つまり団体交渉での回答事項は、その場で回答する義務も必要もないことですし、「週3回会って交渉しろ」とか、既に回答した事項に対して重ねて回答する必要ももちろんありません。
労働組合との交渉では、すぐに回答するよう要求されることもありますが、「持ち帰って検討する(=回答保留)」というのが一般的には得策です。
これは「検討をする義務がある」ということです。つまり相手の提案に対して何の検討をすることなく「だめです、できません」と回答することは禁止されているという理解でかまいません。
ただもちろん、相手の要求が到底実現困難なもの、法的に不可能なことが一目瞭然であれば回答の必要はありません。また「慎重に検討はしたが実現できない」というのは、経営判断として許されます。
団体交渉というのはあくまで「交渉」ですので、会社側にも労働者側にも強制力は一切ありません。お互いの意見を出し合って、意見が一致しなければ、その時点で終了することに問題はありません。
以上をふまえると、労働組合から団体交渉を申し込まれたところで、会社にデメリットはありませんので、特に恐れる必要はありません。ただ、会社としては運用上やはり面倒(ということも、労働者側は当然理解している)であるということです。とはいえそのまま放置しておくと、裁判に発展したり労働組合の要求が強く大きくなったりする可能性もあるので、注意は必要です。
中小企業の経営者の方々が、労働組合の交渉の場に出席するというだけでも、相当な精神的負担があると思われます。もし悩んだときは、専門的に対応ができる弁護士へ相談することをおすすめいたします。当事務所でも受任の実績がありますので、まずはお気軽にご相談ください。
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