そろそろ新年度の準備が始まる頃でしょう。進学や就職を控えた方は、新生活が始まるまでの期間で短期のアルバイトをする方もいらっしゃると思います。今回は特に、アルバイトを探し始める方へ伝えたい「闇バイト」について、弁護士視点で解説します。
とは言っても、私も正直「闇バイト」という言葉の定義はよくわかりません。警視庁公式サイト等を参照すると、
-「高額」「簡単」「即日収入」などの宣伝文句で、かつ、SNSやインターネット掲示板上で募集しているアルバイト-
のことを指すようです。
闇バイトの典型例としては、実際に応募すると先方から保険証の写真などの送付を強制され、連絡先や個人情報を押さえられたうえで、犯罪等に加担させられていたり、「手数料」「保証金」などと称して先に金銭を払わされたりする被害を受けることがあります。
巻き込まれない対策としては、大変シンプルですが、内容を見た段階で「もうこれやばいかな」と感じたら応募しないことです。
そんなことは当たり前ですよね。前提として、そんなうまい話はありません。もしもそんな話があるなら、労力をかけて募集などせず自らがやっているはずです。また、自分では手に余るといううまい話であれば、募集しなくても人は寄ってきます。「公募されている時点」で、もうそれはおかしな話なのです。
しかし「すぐにお金が欲しい」とか「早く借金返済がしたい」というような思いが先行して、判断が弱っている時が特に危ないです。公募だけでなく、SNSで知り合った人からの紹介や、「お金が欲しい」といった投稿に対してきたダイレクトメッセージなどから、闇バイトだと気づかずに飛びついてしまって被害に遭うということもあるそうです。
弁護士として言いたいのは、「仮に応募してしまったとしても引き返せる」ということです。
報道によれば、一度闇バイトに関わってしまうと、応募時に提出させられた個人情報をもとに「従わないと家族に危害を加える」「直接家に行く」などと脅されて、闇バイトグループから脱退しづらくなってしまう心理状況に追い込まれるといったことがあるそうです。
しかし実際問題として、こうした闇バイトを募集しているような人物や組織が、応募者の自宅を訪問、襲撃するようなことはありません。
その最大の理由は「メリットがない」からです。もともとお金欲しさに応募してきた人を襲ったところでお金になりませんし、個人的な恨みがあるわけではありません。襲って事件に発展すれば、逮捕のリスクがものすごくあります。
また、そもそも闇バイトの募集者が日本国内に住居を構えている可能性もすごく低いです。「闇バイト」が大きく知られることになった事件として、フィリピンやカンボジアといった海外を拠点にした犯罪組織グループが摘発された事例があります。もし国外から指示をしているとしたら、わざわざ日本まで来て自宅や実家を襲撃するのは余計にお金も時間もかかります。
重要なのは「闇バイトの募集者もビジネスでやっている」ということです。利益にならないこと、ましてや逮捕のリスクがあることに手間ひまをかけません。自宅に脅しの電話やメールくらいはあるかもしれませんが、それどまりです。ビビってしまうかもしれませんが、強い心を持てば意外と被害に遭わないと思います。
以上のとおりです。闇バイトに一旦応募してしまい、個人情報を提供してしまったとしても引き返せる、このことを忘れないでください。そしてこれ以上、犯罪に巻き込まれる人や被害者を増やさないために、速やかに警察に相談しましょう。
参考サイト:
警察庁 公式サイトより「闇バイト」は犯罪実行者の募集です
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