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執筆者の写真家頭 恵

任意整理の必要書類は?準備の手順と流れをわかりやすく説明します


 任意整理とは、裁判所を通さずに、銀行やカード会社などの債権者と直接交渉し、借金を整理して、返済の負担を減らして行く方法です。多くの場合は、弁護士や司法書士といった専門家に依頼して、手続きを行ってもらいます。


 相談ではよく「任意整理に必要な書類はどのようなものがあるか?」と聞かれることがあります。結論としては、特別な書類や資料は必要ありません。当事務所でも、資料が一切無い方でも依頼を受けています。借入先等は記憶に基づく申告でも構いません。とはいっても、以下のものがあると手続がスムーズになることがありますので、ご紹介します。


1.印鑑

 あまりありませんが、委任関係を証明するために委任状を要求される場合があり、そのために持参していただけると助かります。

2.クレジットカード、キャッシング用カード  カードの所有権はカード会社にあるので、返却を求めれることもあります。また、借入先の住所、正確な会社名等の把握のためにもあると助かります。特にクレジットカードについては、似たような名前や、カード名とカード会社が違う等の事情から、正確な債権者の把握のためにはある方がいいです。

 似た名前としては、たとえば「三井住友カード」と「三井住友銀行カードローン」は別の債権者ですし、「JCB」については「〇〇ジェーシービー」という会社は無数にあり、JCB自体ブランド名ですし、「JCB」という会社もあります。

 カード名としては、たとえば「ららぽーと」「JAL」といったカードがありますが、このようなカードは実際に ららぽーとや JALが発行しているのではなく、実際のカード会社はカードの裏面に記載してあります。 3.請求書関係  債権譲渡が行われた場合も、実際の借入先と通知先が異なることになります。やはり正確な債権者名の把握のために、自宅に届いた請求書類があれば持参をお願いしています。


 次に、任意整理の流れについて説明します。以下は、当事務所で平均的にかかる期間を記載しています。


1.弁護士・司法書士に依頼

 まず債権者の数や借入金額などのご自身の債務状況から、毎月可能な返済額を相談します。弁護士費用の説明を受けた上で、依頼するかどうかを決定しましょう。相談だけで依頼しないことも可能です。


2.受任通知の送付と取引履歴の開示請求(依頼した翌営業日まで)

 弁護士・司法書士は、依頼者と契約をしたらすぐに「受任通知」という書類を債権者に送付します。依頼者の代理で弁護士が任意整理の手続きを始めるというような内容の通知です。この通知により、債権者は債務者と直接やりとりができなくなるため、取り立てや請求がストップします。受任通知と合わせて、これまでの借入や返済状況が記載された取引履歴の全てを開示するよう請求します。


3.利息の引き直し計算と過払い金請求(依頼から1~2か月)

 債権者から取引履歴が送付されたら、それをもとに、利息制限法に基づいた引き直し計算をします。2007年以前からキャッシング取引がある場合には、いわゆるグレーゾーン金利という、現在の利息制限法を超えた金利を支払っていることが多く、過払い金が発生している可能性があるためです。


4.債権者との和解交渉(依頼から5か月~)

 利息の引き直し計算後の正確な金額をもとに、依頼者が返済可能な金額を割り出し、任意整理案を作ります。その任意整理案をもとに和解交渉を行います。その中で、将来の利息や遅延損害金の免除、残金を3〜5年くらいの長期分割払いにしてもらうなど、返済が可能になるよう求めます。


5.返済開始(依頼から5か月~長い方は2年から3年後くらい)

 債権者の承諾が得られて、和解交渉が成立したら、毎月決められた額を返済していきます。なお返済の開始月については、弁護士費用の分割払いが終了してからはもちろんのこと、依頼者の方の希望に応じてなるべく遅いスタートにするよう交渉いたします。もちろん、早期返済開始を希望される方はご相談に応じます。

 

 このような流れで、任意整理は弁護士や司法書士などの専門家が手続きを行います。よって、依頼者本人が行う作業としては多くありません。借金の返済に行き詰まってしまったら、手続きがスムーズにすすむよう、できるだけ早く、弁護士や司法書士などの専門家に相談しましょう。必要書類は何もありませんので、早めの相談をおすすめします。




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