かつてFXや株取引を行うためには、証券会社との契約が必要でした。しかし近年ではインターネットの発達やスマートフォンの機能拡充により、24時間365日、手軽に取引が行えるようになりました。▷FXとは
そのためFXでの損失が原因で、負け分の補填や追加の証拠金のために借入を繰り返し、結果的に借入の返済が困難になってしまうという方が増えています。
FXは、成功すれば高額な利益が見込める反面、失敗すると相当な損失が発生します。特に、レバレッジをかけて取引する場合、わずかな証拠金で大きな勝負ができるため、負けた時のリスクが大きくなっています。さらにはFXそのものだけではなく、「FX必勝法」のような情報商材に投機する方もいらっしゃいます。当事務所のご依頼様で、FXで数百万~1,000万円くらい負けている(失っている)という方も珍しくはありません。
FXでの借金は、その負け額が借入金の半分を超えるような場合、いわゆる「免責不許可事由」となります。とは言え、当事務所では、例えば1,000〜2,000万円の借入の主たる理由がFX等への投資であったとしても、自己破産手続での免責が認められているという実績があります。
なぜなら、どの裁判所も免責不許可事由があった場合でも、裁量免責を認める(免責不許可事由があっても免責される)運用をしているからです。裁量免責を認める場合の多くは、破産管財人による調査が必要です。免責不許可事由があったとしても、破産管財人による「免責が相当である」という意見があってはじめて、免責が認められることが通常です。
上記のように免責不許可事由があると、破産管財人の調査があり、すんなりと免責されるわけではありません。そのため、もし収入に余裕がある場合には、任意整理や個人再生を検討することもあります。
ただし任意整理・個人再生はいずれも「返済を継続すること」が前提となりますので、家庭の事情や収入の問題からそもそも困難である場合等は、よりメリットの大きい自己破産手続を選択します。
いずれにせよ、まずは相談者の方の状況を詳しく精査して、取る手続を一緒に考えていくことになります。
以上のように、借入金全額がFXによるものであったとしても、破産という選択肢があります。もちろん、他の手続が取れることもありますので、その詳細についてはぜひ直接、弁護士までご相談ください。
▷用語解説
FXとは:外国為替証拠金取引の通称です。日本円と米ドルなど2つの国の通貨の為替相場を予測して売買を行う金融商品です。外国為替を英語で“Foreign Exchange”と表すことに由来しています。
レバレッジとは:国内FXにおける「レバレッジ」とは、担保となる保証金(証拠金と同義)の最大25倍の金額を取引することができる仕組みのことです。
免責不許可事由とは:例えば借金の原因が全額投資であるとか、財産を隠しているような場合等、例外的に、自己破産手続きを行っても借金の返済義務が免除されない場合について、法律上定められているもののことです(破産法252条1項各号)。
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